サポーター委員のみなさまへ
前回はカラーの作品を発表している馬場雄二先生に登場していただきましたが、
今回は白黒の作品を創造している方に登場していただきます。
東京から送るインタビュー記事第2弾は、フランス人の書家ピエール・ジルさんです。
もともと、基金の典子さんから<雪絵さんと、似ていることをしている人がいるよ>と、
差し出された本がピエールさんの<どうも、どうもありがとう>という一冊の本でした。
(ピエールさんの出版した本 http://www.pierre-gilles.net/books.htm )
本のオビに<フランス人の書家が楽がきすると、日本語の美しい言葉が絵になりました>
とあります。開いてみると、墨汁でかかれた美しい言葉たちとピエールさんのすてきなエッ
セーが仏日の併記で綴られていました。
<会ってみたいな>と思ったものの、<笑っていいとも>や<徹子の部屋>にも出演した
ことがあるらしい。こりゃ無理かと思いつつも、お手紙をだしたところ、なんと御返事が!泣!
日ごろは飯田橋の私立暁星学園で教鞭をとっているピエール先生。インタビューは仕事の
合間をぬって、近所の喫茶店で行われました。
(以下、Qを筆者、Aをピエールさん)
Q.暑い中、ありがとございます。今、ちょうど期末試験ですか。
A.そうなんですよ。日本の学校の試験のシステムは効率悪いですから。
学校の先生は、もっと時間を効率よく使って、自分のためにもっと時間を
使ったほうがいいと思いますね。人を育てるとともに、自分も育てていかないと。
Q.ピエールさんの活動をみると、まさにフルパワーですね。フランス語講師の他、
シャンソン歌手、写真家そして書家。どういう比率でお仕事されているんですか。
A.暁星学園は、82年から教えていますから、もう20年以上です。
今、大きく力を入れているのはシャンソンのほうで、10月にフランス語で歌う
コンテスト<ジェーム・シャンテ>を計画しているので、その準備に追われています。
でも、これが楽しくて。
(詳細は、右。 http://www.pierre-gilles.net/music.htm )
写真のほうは写真集を出した後は休んでいて、その代わり書道を始めたといった感じです。
Q.コンテストの主催という点では、私も同じ作業をしています。
ピエールさんにとって、どういうところが楽しんでしょうか。
A.やはり、人を育てているという実感ですね。毎年、130人くらいの応募があって、そこから
15人前後がコンテストの本戦に参加します。レベルも高くて。
Q.なるほど。すでに今年で4回目。企画を軌道に乗せる道のりは大変だったと思います。
私もがんばらないと。笑。ところで、書道のほうは、NHK教育テレビの書道講座の弟子役に
なったことがきっかけとか。
A.ええ、写真の仕事で知り合った書道家の町春草先生に是非、弟子役を務めてくれ、と頼まれて。
最初は断ったんですよ。収録の曜日も暁星学園の授業とかちあっていたし。
そしたら、またスグまた電話があって。収録の日を変更したからって。
Q.すごい思い入れだったんですね。
A.ぼくはNHKのフランス語講座を担当していたときがあったので、あの固いNHKが収録日をぼくの都合で
変更してくれるなんて、普通では考えられないことなんですよ。もう、それでは断るわけにはいかないな、と。
Q.町先生、お亡くなりに、、、
A.ええ、収録のときにはすでに不治の病だったんです。
(本のタイトルでもある<どうも、どうもありがとう>の絵は、町先生に捧げた感謝の花火を表現している
すばらしい作品です。)
Q.ピエールさんにとって、日本語の魅力とはなんでしょうか。
A.縦横自由に表現できる自由さ、というか。アルファベットでは無理ですよ。
言葉を絵に近い形にもっていって、意味が一目で感じられるようにしたいんですね。
A.私はひらがなの持つやさしさというか、しなやかさが絵とマッチしやすいのではと考えているんですが。
ですから、にほんごアートには、カタカナがないんですよ。笑
Q.ぼくは、カタカナの作品ありますよ。僕の感性だと、<はい>は絶対<ハイ>とカタカナで書いたほうが
ピンときます。
(ピエールさんの作品<ハイ>では、<ハ>の山を登って行くたくさんの<イ>の
人たちが描かれている。)
Q.なるほど。うーん、すごいなあ。この発想。
A.発想って、泉みたいなものですよね。そのうち、枯渇するかも。
Q.笑。今後はどういう活動を展開していく予定ですか。
A.11月に恵比寿の日仏会館で公開対談があります。芸術方面では、いまは三次元の空間で表現する
手法に興味があります。粘土とか。
Q.発想の泉はまだまだ枯渇しそうにないですね。今日は、いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
A.いいえ。こちらこそ、どうもありがとう。メルシーボクウ!
<あとがき>
取材は、喫茶店コージーコーナーで行われました。
184センチ、青い瞳のピエールさんは、超イケメンで喫茶店でも注目の的でした。
私はコーヒーを頼んだのですが、ピエールさんは甘党なのか、マンゴーフラッペを
注文。すると、コージーコーナー特有の巨大マンゴーフラッペが運ばれてきて、
二人でビックリ。<手伝ってくださいよ>といわれ、いっしょにマンゴーフラッペを
つつき合う栄誉に恵まれました。
来週から、バカンスに出発するというピエールさんに<ボン・ボヤージュ>とだけなんとか
フランス語が口にできたのが、この夏、私の心に咲いた小さな線香花火となりました。
(ピエールさんのHP http://www.pierre-gilles.net/ で詳しい活動がご覧になれます)
文責 内田雪絵